11.本

2013年6月25日 (火)

メンターって必要か?

先日、米国暦が20年以上という日本人男性が、

「アメリカで生きて来られたのは、若い頃に出会ったメンター2人のおかげ。だから、皆さん(駐在員の皆さん、だったかも?)もメンターを見つけることをおすすめする」

と語っていらした。

なんかピンとこないなあと思ったのは、以前も紹介した、この本のせいだった。



Lean In: Women, Work, and the Will to Lead(Sheryl Sandberg)

以前のエントリーはこちら。
「Lean Inがめちゃくちゃおもしろい」


「メンター」についてちょっと調べてみるかーとぐぐって出てきたこの記事も、メンターバンザイ!で、他力本願まではいかないけど、なんとももやっとした。

自分のよき師“メンター”を見つけよう (Allabout)

メンターは、あなたのよき指導者・助言者です。メンターとの出会いは、あなたのキャリアをより充実したものにしてくれるでしょう。ガイドの経験などから、メンターを見つける方法をお教えします。

な、なんか「指導してもらって当たり前」「見つけたらこっちのもん」みたいな雰囲気を感じるのは考えすぎだろうか。

シェリル・サンドバーグさんは、さすがに有名人なだけあって、講演会の終わりに、「メンターになってください!」という人に取り囲まれたりするらしい。たしかにメンターやスポンサーは働く上で大事だけど、女性にとってはメンターを探すのは難しいので、その労力がちょっと違う方に行っているんじゃないか、メンターって言葉はどうでもよくて、大事なのは中身でしょう、と指摘している。
メンター探しは、まるで白馬の王子様を待っているようだ。王子様が来たら出世もできて、重要な仕事ができるようになると信じているんじゃないだろうか、とも言っていて、なんか条件を並べ立てる婚活みたいっすね・・・・とぽかーんとするわたし。


シェリルさんには親身になって相談に乗っていた女性がいたそうだ。「メンター」という言葉は使っていなかったけど、シェリルさんは彼女のメンターを自負していたので、その女性がある日「メンターがいたことがない」と発言したときには本当にびっくりして、じゃああなたにとってメンターって何?と聞いたそうな。

I asked what a mentor meant to her. She explained that it would be someone she spoke to for at least an hour every week. I smiled, thinking.  That's not a mentor -- that's a therapist.

メンターじゃなくてセラピストって!

上記のリンクにも、メンターは上位の人がいい、みたいなことが書いてあったが、64%のVice presidentレベルの男性が、女性とふたりでミーティングをするのは嫌だと考えている、という調査結果を挙げて、女性がメンターを得ることの難しさに言及。
これじゃ現在の男性ばかりがえらくなっているという社会では女性に不利だから、インフォーマルな情報交換の機会を女性にも平等に与えることの重要性を訴えている。ある企業のえらい人は、女性と2人だとあらぬ噂を立てられるのもあるので、社員と夜食事に行くのは避けて、ランチに限定しているとのことだ。確かにこれなら噂も立てられない。
そういえば、日本で、その当時の上司と夜食事に行くとき、彼は「2人で会社の近くだと噂を立てられるから」とかなり警戒していたことを思い出した。くだらないことだけど、出世(とリンクした人生)が本気でかかっている男の人たちにとってみたら、結構重要な問題なのだろう。


で、ここまで書いてみて思ったんだけど、メンターってそんなに必要なのかなあ。
友達や、仲のいい新旧同僚がある程度いれば、持ちつ持たれつで、色々乗り越えられていけるものである。
むしろ、年上の人をメンターにして、「オレの頃は・・・・」って講釈を垂れられるほうがつらいような気がするのだ。あ、これは一部の親も含まれるかもしれない。

シェリルさんも「メンターは見た目よりずっと相互作用するもの」とおっしゃっていた。
なので、やっぱり周りの友達や先輩や後輩とよくしゃべるようにしておけば、それだけで解決!である。
今はTwitterとかFacebookとか、ソーシャルメディアでいろんな方向からアドバイスをもらうこともできるし、離れた友達にもメールやメッセンジャーでいつでもコンタクトがとれるし。
ええ、先週も日本の友達にLINEで「友達ができない」と相談していましたね。ははは。


冒頭の言葉をおっしゃったのはいわゆるエスタブリッシュメント系、堅い仕事の男性だったので、失礼ながら、彼が生きてきた20年前、いわゆる伝統的なオールドボーイズネットワークでは「メンター」をいちいち設定するのはいい方法だったのかもねえ、と遠くを見る目をしてしまう。
そういう前のめりな姿勢より、なんとなく自然なつながりの方が結局長く続くし、相互作用だし、疲れなくていいんじゃないかなあとか発言したらゆとりとか草食系とかののしられるのだろうか。

ところで、この本、ついに日本語版が今週出るようです!

LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲


ちゃんとニュアンスがつかめているかわからないので、日本語版も読みたいなあー。

2013年6月24日 (月)

『ロングテール』に影響されて電子書籍を作ってみた

ちょっと前にこれまたいまさら感あふれる本を図書館で借りてきて読んだのであった。


ロングテール(アップデート版)―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ新書juice)

ちなみにわたしが読んだ英語版はこちら。

The Long Tail, Revised and Updated Edition: Why the Future of Business is Selling Less of More

いやー。古い。最初に出版されたのが2006年なので、出てきてる例もなかなか懐かしい時代のことである。
ロングテールとは、

インターネットを利用したネット販売などにおいては、膨大なアイテム(商品)を低コストで取り扱うことができるために、ヒット商品の大量販売に依存することなく、ニッチ商品の多品種少量販売によって大きな売り上げ、利益を得ることができるという経済理論。ロングテール効果、ロングテール現象、ロングテール経済、ロングテール市場という形でも使われる。(出典:IT media)

ということで、これまで「ニッチ」とされてきた商品も合わさるとすごい利益になるんだよーということがもっともよく知られている部分ではないだろうか。
インターネットでは「90年代の音楽はよかった」と言われているんだけど、その理由というか、「なんであの頃はCDが売れていたのか」というのをわかりやすく説明してくれている。

この理論はよく取り上げられているからいいとして、わたしが一番感動したのは、上から1万位とか、トップから遠く離れたものでも、ほそぼそながら売り上げはゼロにはならず、売れている、というところ。
へえええええ、これほんとなのかなあ!!どこまでニッチなものが求められているんだろう!と感動。

Amazonの事例を取り上げる中で、いわゆる週末作家の人の話とかも出てきた。
「出版」の敷居がさがっているんだなあということを再確認。また、多くの人はお金のためではなくて、自分の本を読んでもらいたい、という気持ちで出版するのだそうだ。
ためしにKindleストアを見てみると、おそらくアマチュアの人が書いた旅行記とかがいっぱいある。


・・・・これは試してみるしかないのでは?


ということでできました。




ニューヨーク、住んでみた。行ってみた。(佐藤こねほ←誰ですか!ってわたしです)


コンテンツはこちら。

・ニューヨークの食料品店 -輝け!ニューヨークのスーパーマーケット大賞-

・ニューヨークのレストラン -お寿司からハマスまで-

・ニューヨークのマーケット -見るだけタダ!-

・ニューヨークのアプリ -これで迷子知らず?-

・ミニコラム

このブログで継続的に人気のあるスーパー特集に加えて、お気に入りレストラン、マーケット、アプリの情報を入れてみた。誇るほどではないが、書き下ろし満載である。
ちなみにペンネームは夫の趣味です。もちろん本名ではない。

Kindle持ってないし・・・・というあなた。知ってました?KindleってiPhoneやAndroidの無料アプリがあるんですのよ。
アプリストアからKindleと検索するとアプリがでてきますぜ!
今ならこの本は無料なので、是非試しに落としてみてください!

さっき自分でも落としてみたのですが(タダだから)、ちょっと写真の入り方がきれいじゃないところがありますな・・・・今日中にでもちょっと直したいと思います。

ということで、たいした内容ではないですが、たくさんの方に読んでいただけるとうれしいです。
感想もお待ちしてます!

2013年6月11日 (火)

『MAKERS』に出てきたスタートアップ企業やサイト一覧

おいおい、どんどんニューヨーク情報じゃなくなっていくよ・・・・と思いつつ、ほぼ趣味なので書いちゃうぞ!!

スタートアップ企業は、日本だと「ベンチャー企業」と呼ばれているような企業のことである。
以前読んだこの本『MAKERS(メイカーズ)』に出てきたスタートアップ企業やサイトは、わくわくするようなところばかりなので、リストを作っておこうと思った。

はい、つまり個人的なメモに等しく、ニューヨークおしゃれ情報を求めている方にはまったく不要なエントリーですが始めます。カッコの中のカタカナは本書内の表記です。



MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

【メイカーズ関連】
MakerBot
3Dプリンターの会社。ブルックリンにあるらしい。

MyDIYCNC
CNC装置の会社。

Epilog(エピログ)
レーザーカッターの会社。

Z Corporation(Zコーポレーション)
3Dスキャナーの会社。


【著者のプロジェクト・企業関連】
Slashdot(スラッシュドット)
英語サイトは、「nerd向けニュースサイト」ですって。

Ning(ニング)
任意のソーシャルネットワークを立ち上げることができるサイト。使ってみたい。

GeekDad(ギークダッド)
「子供と一緒にできる楽しい技術系プロジェクトを探しているうちに」できてしまった会社らしい。すごいな著者。

SparkFun(スパークファン)
「オープンソースハードウェアのコミュニティのために電子部品を設計、製造、販売する」会社らしい。すごい時代だ。

3D Robotics(3Dロボティクス)
結局著者が立ち上げた航空ロボットビジネスの会社。サイトを見て初めて気づいたけど、すごいリアルである。おもちゃの域を余裕で超えてる。


【自動車系】
Local Motors(ローカルモーターズ)
オープンソース乗用車を生産している会社。ラリーファイターという車が有名だそうだ。

Tesla Motors(テスラ)
電気自動車の会社。


【クラウドファンディング系】
Kickstarter(キックスターター)
スタートアップが支持者・資金集めができるクラウドファンディングサイト。みてると結構楽しい。

indiegogo(インディーゴーゴー)
クラウドファンディングサイト。

RocketHub(ロケットハブ)
こちらもクラウドファンディングサイト。名前がうまいな。

Funded By Me(ファンデットバイミー)
こちらもクラウドファンディング。


【スタートアップ】
Aliph(アリフ)
Jawboneというところに買収された??
骨伝導ヘッドセットの会社。ノイズアサシン、ってすごい名前である。

JELLYFISH ART(ジェリーフィッシュアート)
キックスターターでお金を集めて実現した、クラゲ専用水槽。クラゲって、普通の水槽だとだめなんですってーー。

Pebble(ペブル)
スマートウォッチ。携帯とつながって、メールやソーシャルメディアの更新ができるらしい。未来だわーーー。

LUNATIK
ナイキの元クリエイティブディレクターが立ち上げたプロジェクト。スポーツのときにiPhoneを使えるようにするためのいろんなアクセサリーのようである。

peak design
本文中には社名が出てこない。「キャプチャー(capture)」という洋服屋バッグパックにカメラをワンタッチでつけられるクリップを売っている。

Quirky(クァーキー)
クラウドを使って、アイディアを公開評価して、残ったものを商品化する、アイディア商品だったり、おしゃれ商品を開発する企業。

Etsy(エッツィー)
手作り品、芸術品を売買するためのプラットフォームを提供。最近こういう系たくさんあるけど、老舗なだけあって、おしゃれーーーである。


【著者のヒーロー】
Scaled Composites(スケールド・コンポジッツ)
航空会社。わたしが大好きなヴァージングループの会長、リチャード・ブランソンさんの宇宙船を開発しているらしい!!

BrickArms(ブリックアームズ)
レゴのアクセサリーを売っている会社。ニッチ・・・・じゃなくて、ロングテールである。

Square(スクエア)
iPhoneのイヤホンジャックに小さな読み取り機をさして、クレジットカードの決済ができる装置・プラットフォームを提供する会社。Twitterの会長が立ち上げたもうひとつの会社である。


【クラウドファクトリー】
MFG.com(MFGドットコム)
カスタム製造委託サイト。仕様書とCADファイルを送れば全世界のサプライヤーから見積がとれて、製造までやってくれるらしい。すごいな。工場いらなくなるわ、これ。

Alibaba(アリババ)
こちらもクラウドファクトリーの中で紹介。日本語のサイトもあるんだーーー知らなかった・・・・当然か。

Shanzai(シャンツァイ産業)
ありゃ、Google先生からのリンクが見えなかった。見えるようになったらリンクしておきます。こちらもクラウドファクトリー系。

Ponoko(ポノコ)
ウェブからレーザーカットや3Dプリントの製造請負を依頼できるサイト。さらに自分で設計したものを売ることも可能。うおおおお何か作りたくなってくる!

Shapeways(シェイプウェイズ)
こちらも上記のポノコと似ている。小さなもろもろがトップ画面に出てきてかわいい。


【その他】
Open Source Ecology(オープンソースエコロジー)
抜粋:「現代的で居心地のいい小さな村を作る」ために必要な、小型の製材機や超小型の刈り取り脱穀機など、50種類のオープンデザインの機械を開発している

Instructables(インストラクタブルズ)
DIYサイト。これはみてたら飽きなそう。

ーーーーー

読んだ方、抜けている情報があったらそっと教えてください。

いやー改めてまとめてみて、これからはこれまで「ニッチ」とされていたものがどんどんC2Cで売られていく時代なんだなあ、ということを実感した。
この本はこういう企業のストーリーがふんだんに盛り込まれていて、どれもこれも「未来を感じる」ものなので、そういう楽しみ方もありなんじゃないかなと思う。
製造業の方たちは戦々恐々とするかもしれない。何を隠そう、うちの夫も美術系の仕事をしているけど、こういう動きには出遅れちゃいけない、とiMac27インチを買って、CADソフトも入れて、とやる気満々である。

いまのところ、超スタイリッシュでかっこいい、自慢のiMac27インチは、ゲームとネット専用機になっているんだけど・・・・

22万円が・・・・(円建てで買った)

ということで、iMac27インチを立ち上げるたびに「22万円」という呪文を唱えて、今年中には上記の会社を使って、何かしたいなあと密かに誓いました。

2013年5月27日 (月)

「グローバル化」とか言っているからつまずくのです

本の整理をしていたら、アメリカに来る前に成田のTSUTAYAで買った本を発見した。

なぜ、日本企業は「グローバル化」でつまずくのか―世界の先進企業に学ぶリーダー育成法





まず、「グローバル」というカタカナ言葉がいろんな場面でいろんな意味で使われていて、よくわからなくなっているんじゃないか、という問題提起から始まる。
「地球的○○」という形に置き換えるのはどうですか、と提案しているけど、うーん、これはちょっと語呂が悪いような。「全世界規模」じゃだめなのかな?と感じた。
まあしかし、「グローバル化」とか「グローバル人材」が誤解されているのはおっしゃる通りだと思う。
「英語ができれば、どんな仕事でもできると思うなよ!!!」というのは、以前も書いた。
(参照記事→『「英語ができる」という評価を「英語ができない」人がする悲劇』)


本書いわく、日本企業のグローバル化でのつまずきの要因は以下4つだそうだ。

(1)もはや競争優位ではない「高品質」にこだわり続けた
(2)生態系の構築が肝心なのにモノしか見てこなかった
(3)地球規模の長期戦略が曖昧で、取り組みが遅れた
(4)生産現場以外のマネジメントがうまくできなかった

ああ、おっしゃる通りです・・・・
やたら高品質なスマホ連動洗濯機やら(いつもネタにしてすみません)、某音楽会社がデジタル配信をずーっと拒否してたことやら、なんとなく政府が言ってるから海外で事業やらなきゃいけないなーとか、どうしようもないマネージャーとか・・・・
あ、最後は一部の人に対する感想で、もちろん素晴らしい方もたくさんいます!

以前、ヨーロッパに住んでいたときに、デパートの家電製品売り場に行ったら、韓国製のTVが売り場のほとんどを占めていて、高い日本製のTVは隅に追いやられていて、あー、なんか日本って違うんだなーと感じたことを鮮明に覚えている。
ちなみに、その当時家具付きの我が家についてたTVやそのほかの家電も、ほとんどが韓国製だった。
あ、今の家の備品のTVも韓国製だ・・・・

これらの4つの課題は、「視野狭窄」、「土俵違い」、「多様な人材の欠如」が招いているものだとしている。
この後に続く文章は、「ああ、わかる人はわかってるよねえ」と思う文章である。

 多くの日本の企業は、その組織の構成においても、意思決定の現実においても、中年の男性を中心に成り立っています。女性の活用は世界的に見て遅れており、中枢にいるのは四十代以上の日本人男性です。外国人の活用もほとんど進んでいません。
 社内に人材がいなければ外部の知恵ある人と協業することも必要ですが、社外の人に対しては、時に下請け扱いをして高圧的になりがちで、プロフェッショナルを適切に遇することが増えてです。内向きで、流動性と多様性のない組織からは変化の時代に即応したアイデアも戦略も生まれにくいのです。
(中略)
 この多様性のなさはイノベーションが求められグローバルな展開が求められるいま、そしてこれからの企業経営において、大きなハンディキャップになる可能性があります。

以前も書いたとおり、「多様性が大事」というのは、なかなかマジョリティの人にはわかってもらえないのである。
(参照記事→『オールドボーイズネットワークとエイリアンのわたし』)


この本は、そんなマジョリティの人たちが開いたら、「うっ」と考えさせられるんだろうなーと思う言葉が、ほかにもたくさんつまっている。
・・・・ので、マイノリティ、エイリアンから見たら小気味よい。くくく。

 すべての人間が外国人への偏見や先入観を少なからず持っています。グローバルにビジネスを展開すると決めたならば、そうした偏見については意識的に減らしていくように努力することが不可欠です。
 しかしこれらを一番困難に感じるのは、日本人男性正社員です。彼らは自らが日本企業において心地よいメインストリームにいるため、自分たち以外の周囲の人たちのことを一段低く見がちです。

なるほど・・・・
これは本当に個人的な経験なんだけど、「白人の奴ら」みたいな発言って、今のところ日本人の中年以上の男性からしか聞いたことがない。
わたしは鈍感なのか、それともまだまだ経験が浅いからか、「白人だからえらそうだなあ」、とは感じたことはないんだけど、もしかしたら、
「なんか馬鹿にされてる!日本では馬鹿にされたことなんかなかったのに!」
と無意識に感じて、そういう感想を持つ人がいるのかもしれないなあと思った。

 昨今、日本企業のモチベーション低下や職場におけるストレスの増大などがよく言われていますが、ひとつにはメインストリームである日本人男性正社員の自分たち以外の相手、例えば女性、若手、派遣社員、外国人、社外パートナーといった人たちに対する共感性(エンパシー)と思いやり(シンパシー)の欠如がそれを起こしている部分もあるのではないかと思います

これはほんとそうだと思う。
「毎日11時まで残業、通勤時間は1時間半、家のローンは35年」
みたいな昔の同じような人たちしかいない職場環境だと、
「だいたいどういう生活をしていて、生きる上で何に重きを置いているか」
というのがわかるので、その中でどう振る舞うかとかは気にする必要がない。
でも、雇用形態、働き方、生活の仕方が違う人たちがいる環境では、相手の立場をよく考えることが必要なんじゃないかなあ。

例えば、共働きの家庭だったり、子供のいる家庭だったり、介護をしている人だったり、または残業代が出ないという契約になっている人に、「11時まで働かないなんてけしからん!」って時間だけ見て怒るのはばかばかしいし、安い時給の人に、「この程度の仕事はなんだ!」って言うのもなんか違う気がする。
(給料と質の問題は難しいけど)

時に日本の経営者は若手を鍛えなければいけないと言いますが、果たしてご自分は鍛えられているのでしょうか。

ゴルフは鍛えられてそう!


本書いわく、「グローバル人材育成のために日本企業ができること」として、5つの提案をしている。

(1)研修以前にもっと人事異動を効果的に使え
(2)幹部教育を手厚くせよ
(3)人材育成は日本人も外国人も対象にせよ
(4)英語とともにコミュニケーションの型を学べ
(5)海外ビジネススクールを有効に活用せよ


最後に。この本の中に、「日本企業の挑戦」、として、ある企業の研修風景の写真が出ていたんだけど、これが笑えなかった。
中年以上の男性ばっかり・・・・
超えなきゃいけないハードルはなかなか高い。

ちょっと話は飛ぶけど、先日の三浦雄一郎さんのエベレスト登頂について、面白いTweetを発見した。

そういえば、矢沢永吉さんのアルバム?が最高齢オリコン1位とか、そんなニュースも出ていたけど、これから高齢化社会だし、医療も発達していくのだから、「最高齢」記録がどんどん破られるのは当たり前かもしれないなあ。


メインストリームや今後マジョリティを占める高齢者が元気なのはもちろんいいことだけど、マイノリティになってしまう若い世代に出番が回ってこない社会はやっぱりちょっと物足りない気がする。
出番を回すためには、高齢者まではいかないけど、ちょっと年上の世代が、
「自分でもできる!」
と思うことをそっと若者に譲ることで社会が活性化する、という意識を持つことが大事なのではないかなあ。

「若者を援助することはかっこいい!」みたいな風潮を作ったらいいのかもしれない。
しかし政府にはこの活動は期待できない。だって65歳定年を義務化しちゃう人たちですから。

じゃあどうするのか?
前にも書いたけど、ミレニアル世代には、メインストリームでマジョリティなエスタブリッシュメントを怖がらせるくらいの力があるのである。
(参照記事→『「オレがオレが」なミレニアル世代が世界を救う?』)


新しい文化や、社会で必要とされるその力や製品、サービスをうまくアピールして、マジョリティである中年男性に理解してもらって、援助してもらうことを考えてみたらどうだろう。
きっと、わたしみたいな、「おじさんたち、全然わかってない・・・・」とグチグチ言いがちな人が、あきらめずに彼らをしぶとく説得したり、歩み寄ることが必要なんだと思う。
媚びるのとは違うと思うのでなかなか難しいけど。


歩み寄りやうまく立ち回るのって、ときにめんどくさいけど、何かを変えたいなあと思ったらちょっとずつ道を作ることが大事だよなあ、と30代になっても反抗期な自分にちょっと反省した三連休の最後の日だった。

2013年5月17日 (金)

「オレがオレが」なミレニアル世代が世界を救う?

先日、図書館でこの表紙のTIMEを見つけて、熟読したくなって思わず買った。

1980年から2000年くらい生まれのいわゆる「ミレニアル世代(Millennials)」の人たちを「The  Me Me Me Generation」と名づけて、

・narcissistic(ナルシスト的・自分大好き)
・overconfident(自信過剰)
・entitled(評価されたいという姿勢。参考)
・lazy(なまけもの)

というデータが出ているけど、どうなんだろう?ちょっと年上の世代がこの世代の特徴を見ていこう!という記事。

Me Me Me Generationってすごい名前である。
日本語にしたら、「オレがオレが世代」「わたしがわたしが世代」とかになるだろうか。
世代論ねえ・・・・思いつつも、ここまでけちょんけちょんに言われてしまっては読むしかない
あ、はい。わたしもミレニアル世代の一員です。


まず、著者は
「これから、歴史の中で繰り返されてきた、年上が若者を非難することを、私もしていきますよー」
と、前置きしたあと、
「でも、これまで批判した親父世代の人たちと違って、オレデータ持ってるもん!!」
と、ミレニアル世代が上記のように考えられている根拠となるデータを持ち出してくる。

その根拠データは以下の通り。

・ナルシスト的人格が見られた人の割合が、65歳以上と比較して、20代では3倍(2009年)
・40%のミレニアル世代が、実績と関係なく2年ごとに出世すべきと考えている
・CEOよりも、アシスタントになりたいという女子学生が4倍(2007年)
・60%のミレニアル世代が、どのような場面でも自分が正しいと感じられると回答
・18歳から29歳までの若者は、配偶者よりも自分の親と同居している割合が高い(2012年)
・大きな責任を負う仕事をしたいと言っている若者が10年前と比較して、80%から60%に減っている


なんだかこの辺のデータ、日本で若者を草食系とか無気力とかパラサイトとか言うのと似ているなーと思ったところ、記事でも、
「グローバリゼーションで、世界中にSNSとか同じようなものが出回っているので、どの国でも似たようなものでしょう」
と指摘している。


しかしながら著者は、インターネットや携帯の普及で、情報やら人やらがあふれている社会では、人々とつながっていなきゃという気持ちも生まれるだろうし、埋もれずに人々に認識されるためには、いいね!みたいな評価(entitlement)を得たいだろうねえ、と理解を示している。
年上の世代にYouTubeがあったら、もっと大変だったでしょ!とも。
そして、ミレニアル世代はこんな人たちだとも書いている。

・熱心で、楽観的
・システムを受け入れる
・実用主義的な理想主義者
・夢を見ているよりはいろいろ試してみる人
・ライフハッカー
・世界は平等
・コンスタントに受け入れられている実感を得たい


著者は以下のように、年上世代から見たミレニアル世代の印象を記している。()内は私の注釈である。


They (millennials) are the most threatening and exciting generation (...) not because they're trying to take over the Establishment but because they're growing up without one. (...) The information revolution has further empowered individuals by handing them the technology to compete against huge organizations: hackers vs. corporations, bloggers vs. newspapers, terrorists vs. nation-states, YouTube directors vs. studios, app-makers vs. entire industries. Millennials don't need us. That's why we're scared of them.

IT革命により、ミレニアル世代はひとりひとりが力を持っていて、個人がこれまでの「Establishment」、大きな組織や団体を脅かす存在になりえる。
でも、ミレニアル世代はEstablishmentをのっとろうとして行動しているのではなくて、Establishmentを必要としていないのである。
私たち(著者が代表する年上世代)は必要とされていないから、彼らを恐れている、というかんじだろうか。
これは非常に的を得ている気がする。


この、「年上の世代が自分の世代を恐れている」っていうのを感じたことがある人はどのくらいいるのだろうか。
おそらく、あまりいないんじゃないかと思うけど、
「こんなことできないの(知らないの)?」
「ぐぐってみればわかるのに・・・・」
「なんで何かをするのにそんなに時間かかるんだろ?」
という、素朴な疑問というか、あれっという感覚を持ったことがある人は、結構いるのではないだろうか。


・・・・・・・・
あれ、わたしだけ?

しかし、日本のこのEstablishmentのミレニアル世代に対する見方は、もうちょっとゴマすってくれてもいいよーというような姿勢である。

「イクメン、弁当男子」は、なぜ出世できないか(プレジデントオンライン・・・・から消えてる!!)

ゴマをすらなかった結果、炎上→記事削除に追い込まれたのだろうか。
日本のミレニアル世代のパワーはすごい。(すべてがいい面ではないけど)


ともあれ、いまや、ミレニアル世代は、年上世代より、いろんな情報を手に入れられるし、端末やサービスも使いこなせるし、様々なコミュニティにアクセスすることも可能なのである。
こういう人たちを活用しないのって、社会の損失じゃない?
ちょっと上の世代の同じような人たちばかりが働いている環境だから、

「洗濯機+スマホ+クラウドを組み合わせたすごい製品作っちゃったぜ!」


みたいな悲劇がおこるわけで(参考)、この商品の企画段階に例えばミレニアル世代に忌憚のない意見を求めていたら、

「スマホもクラウドも無理に使わなくていいんじゃないでしょうか。洗剤の容器に目盛りありますし・・・・

と苦笑しながら(ちょっと申し訳なさそうに?)提案してくれるだろうし、また、毎日洗濯をしている人がいたら、

「いや、洗濯のとき一番大変なのってたたんでしまうことだから


と一笑に付してつっこめるわけである。


さらにタチが悪いなあと思うのは、
「じゃあミレニアルの意見を!」
となったときに、おじさま方は、

「ではお客様アンケートを」
「ではマーケティングデータを」
「ではコンサルタントを」

という発想に陥りがちなんだけど、ミレニアル、あなたの席の3m先にいますから。
そういう人たちの率直な意見を聞いて、生かさないなんてもったいない。


前回(参照)も書いたけど、オールドボーイズネットワークで固まっているところからは、同じような発想しか出てこなくて、イノベーションとか成長とか無理だろうなあと思う。
この取り組みみたいに、多様化を促進するような動きがどんどん広まるといいなあ。

イオン:女性管理職、20年に5割へ 出産、育児に配慮(毎日jp)

この動きの中で、女性手帳とか慰安婦は仕方ない、とか言っちゃうどうしようもない政治家や、つまらないヤジや見栄もついでに駆逐できないかな。

オヤジギャグはなごむので、存続を支援したい。
たまになら。


(2013/5/27追記)
「app-makers vs. entire industries 意味」という検索ワードでこのブログをご覧になった方がいるようなので、もしもう1回このブログを見ていただく機会があるなら・・・・と思い、追記しておきたい。

app-makersというのは、字面通りとるとスマートフォンやタブレット向けのアプリケーションを作っている人たちのことだろうけど、entire industriesと対比しているということは、おそらく、YouTubeや、Netflixとかの新しいメディア・サービスのことも指していると思われる。
こういう新しいサービスで既存の業界(entire industries)が脅かされている例としては、

Youtube vs. テレビ(地上波、衛星、ケーブル)、音楽業界
Netflix、Hulu(動画ストリーミングサービス) vs. テレビ、映画業界
Pandora、Spotify、Songza(インターネット音楽ストリーミング) vs. ラジオ業界、音楽業界
Kindle(電子書籍) vs. 出版業界
Skype、LINE、Viber(無料音声通話、メッセージング) vs. 電話会社、携帯会社(もしかしたらハガキ、郵便会社とかも?)

さっと考えただけでもこのくらいある。
これまでの業界の常識を打ち破るアプリケーションがミレニアル世代によって作られて、それによってEntire industries=Establishmentと思われている業界に結構な打撃を与えているということですな。
この辺得意なので、ご質問いつでもお受けします!

2013年5月13日 (月)

オールドボーイズネットワークとエイリアンのわたし

橋下知事の発言が、ABCやBBCでもニュースになっていた。

Japanese politician defends use of sex slaves(ABC)

Japan WWII 'comfort women' were 'necessary' - Hashimoto(BBC)

ABCの見出しひどい・・・・
しかし、この発言はないよなあ。
こういう失言があるから、政治家や企業のトップは何度も何度も推敲された紙を読まされるんだなあ、ということを実感する事件である。
ここまでの失言ではなくても、人の発言って、その人がこれまでの人生で考えてきたこととか、スルーしてきたことがすごくよくわかるよなあ、と思う。

そんなことを実感したのは少し前。
日本人駐在員数人で話していた時のことである。
どうでもいいtipsだけど、日本人駐在員、と聞いたら9割男性と考えていい。この日も男性数人と女性はわたしひとりという比率だった。

時間にして、1時間ほど、彼らはずーーーーーーっと、ゴルフの話をしていたのである。
どこどこの会社の○○さんのハンデはいくつ、△△会っていうので毎月1回は回ってて、どのコースはいい、クラブはどこのやつ、アメリカの通販サイトがいい、うんぬんかんぬんうんぬんかんぬんエンドレス。

うわー。参加できない・・・・

申し訳ないなあ、と思う部分は少しあるけど、うまい話の盛り上げ方もできずに、「へー」とか相槌うちながら聞いていたわたしである。

いつ終わるのかなーと思っていたら、1時間後くらいに、やっと話が振られた。
「こんなにゴルフに夢中になってる男って、バカだなあ、と思うでしょ?」
いや、スポーツとして面白いですよね。わたしもやったことがあるので、わかります、と言ったところ、

「あー、わかってくれるんだー!うちの奥さんはわかってくれなくてさー!」
「そうそう、家族サービスなんか全然してなくって」
「ゴルフに毎週行けるあたり、単身赴任でよかったと思うんだよねー」

ああ、結婚2年目のわたしの夢を壊さないでくれますか、みたいなコンボを食らった。


「実は、うちの嫁も一時期やってたんだよね。でも、アレでやめちゃったんだ」
アレで、のところで、その人はお腹の前に手で円弧を描いた。

え、これはまさか・・・・!!

「ああ、うちもそうなんですよ。その頃は○○に駐在してたんですけど、コレで
描かれる円弧もう1つ。

やっぱり、まさかの妊娠を示すオヤジジェスチャー!!

日本にいたころ、友達がふざけて、「アレがコレで」ってやってたのを思い出す。
このジェスチャー、ほんとにやってる人がいるんだ・・・・!!
わたしにとっては、「ナウなヤング」って言ってるみたいな、恥ずかしいというか、ネタとしか思えない仕草だったのである。


その後、やっと存在に気づいてもらえたようで、わたしの話になった。
「でもさ、うささん(仮名・わたしのこと)はアメリカに駐在になっちゃったけど、旦那はどうしたの?」
「一緒に、アメリカに連れてきました」
ええっと驚くわたし以外の男性陣。ここまではわたしも慣れたものである。
「フリーランスなので、こちらでも仕事ができればと思って一緒に来ました」
反応は、わたしの想定問答の斜め上を行くものだった。

「日本に根がないから、連れてこれたんだねえ」


根がない・・・・!?
つまり、根なし草って言いたいのだろうか。
これはこれまでにない反応だなあ、と脳内想定問答集に書き込んでいたところ、別の人が、よくわからないんだけど、と前置きの上、困惑したように聞いてきた。

「その場合って、旦那さんにはビザは出るの?」
「はい、わたしの配偶者ビザで」
「え!旦那さんの方が配偶者ビザで来るなんてできるの?」

!!!!!!

わたしにとっては目から鱗どころか目が落ちちゃうくらいの衝撃的瞬間であった。
配偶者って!言ってるじゃない!!「妻ビザ」なんて言ってないじゃない!!!


根が深いなあと思ったのは、彼らが何ひとつためらわずに、すらすらと上記の発言をしたことである。
彼らにとっては、
「土日は男だらけでゴルフ」とか、
「ゴルフのために単身赴任は家族に気を遣わなくていいから楽」とか、
「会社員以外は根なし草」とか、
「配偶者ビザで来る人=妻」
みたいな考えが定着していて、本当に素直に思ったことを言っただけなのである。
自分の考えを見直す必要性をこれまで迫られたことがないし、その発言でわたしのように「うわっ、そう来たか!」と思う人がいるなんてことも想像したこともないのであろう。

これ、あれじゃない、オールドボーイズネットワークってやつじゃない・・・・

もちろん、日本にいたころも、こういう人はちらほらいた。
でも、駐在員の世界って、男性が圧倒的に多いので、男社会的なつながりがより強固なものになるのではないだろうか。
もしかしたら、最近流行りの「女性活用」とか「セクハラ」もどこへやら、の人が多いのかもしれない。訴えられることには敏感かもしれないけど。

こういう凝り固まったちょっと特殊な社会には、やっぱり、『Lean In』でシェリル・サンドバーグさんが言うように、女性リーダーが必要なのだと思う。

一番必要としている人が、その必要性に気づいてないだろうけど。
(過去エントリー:シェリル・サンドバーグの『Lean In』がめちゃくちゃおもしろい(※まだ読み終わってない)


ここで男性社会に対して憤っていても何も変わらないので、わたしはせっせと

・夫を配偶者ビザで帯同させた
・夫婦別姓でIDを作った
・駐在中に出産して、制度を作った(未来)
という前例を作って、後に続こうという人や、道が見えないという人たちを励ましつつ、日本の組織とか、社会の多様化の一助となれたらな、と思う。
しかし、残念ながら、日本の大都市の首長ですら冒頭のような発言をしちゃうような状況なので、道は長く険しいなあ、とも感じるのであった。


※なお、このエントリーの会話部分は、臨場感たっぷりにお送りしたかったので、彼らの発言をなるべくそのまま書いています。

2013年4月21日 (日)

シェリル・サンドバーグの『Lean In』がめちゃくちゃおもしろい(※まだ読み終わってない)

全米で話題沸騰中のこちらの本。
フェイスブックのCOO、シェリル・サンドバーグの著書である。
まだ読み終わってないのに、途中までの感想を書きたくなるくらいおもしろい。
(後日談:ちゃんと読み終わりました。おもしろかったーーーー)

「結婚とか出産とかいろいろあって大変だけど、女性が働きやすくなるように、一歩踏み出しましょう!」
という主張が展開されていて、「新しいフェミニストのマニフェスト」とか称されている。

この本の何が話題沸騰かというと、こんな感じである。

A Titan’s How-To on Breaking the Glass Ceiling(NEW YORK TIMES)

5 smart responses to Sheryl Sandberg's Lean In(THE WEEK)

When Black Women Are Left Out of the Conversation(ESSENCE)

まずは一歩後ろに引いてみること--ハフィントンからサンドバーグへの助言(ZDnet Japan)
(余談だけど、わたしこの方の記事のファンである)

「今苦しんでる女性たちに対して、これ以上踏み出せとか言うのか!」とか、
「お金持ちのあなたが言ってもねーーー」とか、
「主張が結局エリートの女性にしか当てはまらないじゃん」とか、そんなかんじで、賛否両論なのである。

ふむーーーーー。
おそらく、本人も批判を受けるであろうことを予知していたっぽく、本の中にはクッションワードならぬ、昔の失敗談とか苦労話のようなクッションエピソードみたいなものがたくさんある。
そのうちのひとつ、シェリルさんがGoogleで働いていたころ、電話会議に出ながら機械で搾乳してた、というエピソードとか、もうかわいすぎるじゃん!と思うのだが。
というように、わたしは今のところ、字面通りにしか彼女の言葉を受け取れなくて、おっしゃる通りだよなあーとうなずくばかりである。

この本の中で、シェリルさんは、「女性のリーダーはもっと増えるべき!」としている。
シェリルさんが、Googleで働いていたとき、妊娠してつわりがとてもひどくなったそうだ。
駐車場からオフィスへの道のりもつらくて、CEOのラリー・ペイジに頼んで、オフィスに近い場所に妊婦専用の駐車スペースを作ってもらった、という話である。
シェリルさんは偉い人たちに直訴できる立場にいたから提案がすぐに実現したけど、そうじゃない人の場合はどうなってしまうんだろう?と同社の女性の中で地位が高い自分がこれまで気づかなかったことを恥じるところからこの本は始まる。


このエピソードの通り、同じような人間しかいない場所には、それ以外の発想が生まれなくて、少数派を無視してるよね、と思うのである。
最近、わたしの友達が妊娠したのだが、彼女はつわりの体を引きずりながら、他の社員と一緒に引き続き遅くまで仕事をさせられていて、本人よりもまわりのわたしたちが心配しているし、憤っている。
結婚や出産を経験した女性がリーダーになってくれたら、そしてリーダーになれる仕組みがあれば、こういう状況も変わるんだろうなあと思う。


しかし、アメリカにも「3歩後ろを歩く」的な伝統はあるらしく、それが女性リーダーの増加のひとつの障害となっているとシェリルさんは考えている。

We hold ourselves back in ways both big and small, by lacking self-confidence, by not raising our hands, and by pulling back when we get throughout our lives -- the messages that say it's wrong to be outspoken, aggressive, more powerful than men.

(わたし訳:私たち(女性)は自信不足や、手を挙げないこと、人生のあらゆる場面で後ろに引くなど、大小さまざまな方法で、自分を押しとどめている。それは、男性よりも率直になること、積極的になること、パワフルになることは間違いだと言われているからだ)

こういう古い価値観から、リーダーになるのを避けてしまっている女性がいるのはもったいない、とシェリルさんは述べる。
だから「Lean In」なんだ、と。踏み出せ、と。

ほんとよねー。
「どうせ無理」って思いこんで行動しないのって一番もったいない。
わたしの話だけど、ニューヨークで働くポストに手を挙げるとき、周囲からは、

「女性が駐在になるのは無理って言われてる」
「ニューヨークなんか行ったら出産どうするの?」

とか言う声が上がったけど、手を挙げずにあきらめていたらすごく後悔しただろうなと思う。
無計画とも言いますが。はい。


ちなみにシェリルさんは、
「誰もがこうしろ、と言っているわけではない」
としていて、仕事を辞めるという選択肢を選んでもいいのよーと、他の価値感も認めているのである。
それなのに、この記事の冒頭にあったような論争というか批判が起きるってどういうことなのだろうか。

・これまでの自分の生き方、やり方を否定されたと思っている人
・「自分ががんばれてない」と思っていて、、どこかで自分を責めているのをずばりシェリルさんに指摘されちゃったと思い込んでいる人
・スタート地点があまりにもシェリルさんと違って弱いので、同じような戦法(給料の交渉をするとか)をとれないと思っている人

この辺の人たちが批判しているのかなあ・・・・


というように、非常に示唆に富んでいる本なので、次回以降にもっとちゃんと感想を書いていきたいと思います!

アップしようとしたら途中までブログが消えて、これ以上書く気がしなくなったわけじゃないのよ。

・・・・ぐすん。


(2013/5/14 追記)
こちらも今後ちゃんとまとめるつもりだけど、ヴァージンアトランティック航空のリチャード・ブランソン会長のこの本に対するコメントが面白かったので、リンクを貼っておきます!

Richard Branson on Sheryl Sandberg, 'Leaning In,' and Balanced Workplaces(Entrepreneur.com)


(2013/6/30 追記)
日本で発売したからか、このエントリーを見つけてくださる方が結構いらっしゃるので、後日談というか、他に引用したエントリーへのリンクも貼っておきます。
あ、ちなみにエントリーのタイトルが「まだ読み終わってない」とかついていますが、無事読み終わったのでご安心を。(?)

『オールドボーイズネットワークとエイリアンのわたし』
『メンターって必要か?』(usa in wonderland)

でもって、日本語版はこちら!いいなあいいなあ読みたいなあ。


わたしは仕事で女性に会うことが多いような気がしていたんだけど、読んだ後は「アメリカってそこまで先を進んでいるわけじゃないのかも・・・・」という感想を持った。
日本よりいいか悪いかと単純に言えることはあまりないんだけど、出産について人の話を聞いていて気づいた違いはこちら。

・無痛分娩が普通-ちなみに無痛じゃないのも選べるらしい。
・アメリカは出産後すぐに病院を出される-医療費高いからねえ。
・出産費用は保険がカバー-「え!日本の保険は出産費用出してくれないの!?」とびっくりされた。出産一時金もらっても赤字だもんねえ、日本だと。
・アメリカは産休短い-日本も産休だけなら短いのか?産んで3か月くらいで仕事に復帰する人が多いみたい。

そのほか、随時追加していきます!

(2013/7/2 追記)
日本でシェリルさんの講演会があったみたいですね。いいないいな。
講演会の動画のリンクを一応貼っておきます。

グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット
(アーカイブも同時通訳つきなので、シェリルさんの言葉が直接聴けないのが超残念・・・・)

この中でシェリルさんは、「政府が何をしてくれるかではなく、ひとりひとりができること」として3つのことを挙げていた。
(1)「女はこうあるべきだ」というステレオタイプを捨てること
女性は自信を持つこと、サポートだけでなく自分が組織を率いるという気持ちを持つこと。

(2)働き方を男女平等に
男女にあるお給料のギャップについて言及。アメリカでは23%、日本では29%も賃金の差がある。
また、勤務時間が長いことは女性が働くことを阻害している。三菱化学の打合せは1時間まで、19時には帰るという取り組みを紹介。

(3)家庭の仕事も男女平等に
日本では、女性の育児にかける時間が男性よりも5倍も長い。
KDDIの社長と、FBについて、女性について議論したらしい。未来は女性にかかっている、というコメントを得たそうだ。

まとめとして、「怖くなかったら何をする?」(これは本にもあった節)と考えて、自分がどのようにLean Inするのかを考えて、シェアしてほしいとのこと。
女性がリーダーになることで未来が変わる。少しずつ女性がリーダーになることで、仕事で成功した女性が嫌われず、周囲から支えられる時代になる、とも述べていて、よりよい社会、幸福に包まれた家族を作るために、男女ともポテンシャルを引き出せるような環境を作っていくことが大切だ、と講演を締めくくられていた。

パネルディスカッションはいまいちシェリルさんの出番が少なかったんだけど、川本裕子さんの「日本の会社はJob deciptionがしっかりしていない」という言葉や、キャシー・松井さんの「ライフパートナー(結婚相手)を誰にするか?といのは人生の中で最も大事な選択」という言葉は心から同意した。

Job description、ようは業務範囲だと思うんだけど、以前のエントリーで書いたとおり、これは日本の組織だと本当にあいまいだと思う。
以前のエントリー:『「英語ができる」という評価を「英語ができない」人がする悲劇』

ここにも書いたけど、わたしは「TOEIC900点以上」という噂が流れて、全然職種が違うのに会社の広報のアナウンスの英訳を頼まれたことがある。
こういう曖昧にお願いされることのせいで残業も多くなるし、本来やらなきゃいけない仕事との間で板ばさみになるし、効率性を著しく下げているような。
ちなみにこれを書いたときに「上司を通して頼むべき」って超正論をもらったんだけど、それより上のレイヤーの話のような気がしている。

Job descriptionをきちんと作る、というのはものすごく大変な仕事のようなので、すぐにどうなる、というのは無理かもしれないけど、同僚に対して「気を利かせてやってほしい」みたいなことをなくすだけでだいぶ違うのではないかなーと思う。

しかし、上記の動画を見ると、質問してる女性はだいたいみんなきれいな英語で質問していた。こういうスキルを持った人たちがよくわからない社内政治にだけ精通したおじさんたちに邪魔されて自由に自分の人生を選べない環境は、本当にもったいないよなあ!

2013年4月 1日 (月)

「愛するということ」から考える英語習得への道

英語を使っているところを誰かに見られたときに絶対に聞かれる質問。

「どこで英語勉強したの?」

これ、ほんとに日本人だと100%くらい聞かれるんですけど。わたしだけ?
なんで聞かれるのかなーとちょっと考えてみて、わたしが行きついた仮説は、

勉強法がありすぎて、どれがいいのかわからないから、
どれをやったらできるようになるのか知りたい

というものである。
(ここではわたしが英語ができるとかできないとかはおいといてくだせえ・・・・お代官様・・・・)

どうだろう。
ダイエットとかでも同じじゃないかなあ。納豆ダイエットとか、おからクッキーとか、ロングブレスダイエットとかいろいろあったよねえ。
「どうすればできるようになるの?」という質問に対して、この本が挙げている技術を習得するための4つの原則は非常に正攻法で、英語でも、ダイエットでも、なんでも達成したいものに適用できそうだなとちょっと感動した。

『愛するということ』(エーリッヒ・フロム)



「愛する」ということは「技術」であるとして、
「突然落ちた恋」なんてのは、愛じゃない。
じゃあ、愛ってなんだろう、技術はどうすれば身につくんだろう、
みたいなことを書いている本。(超意訳。すみません)

技術の習得4つの原則とは、


(1)「規律」
規則正しくやらなければ、どんなことでも絶対に上達しない。

(2)「集中」
誰もが一度にたくさんのことをしている。(中略)この集中の欠如をいちばんよく示しているのが、一人でいられないという事実だ。

(3)「忍耐」
性急に結果を求める人は絶対に技術を身につけることはできない。

(4)「技術の習得に最高の関心を抱くこと」
もしその技術がいちばん重要なものでないとしたら、その技術を身につけようとしても、絶対に身につかないだろう。



--------

うはーーーーー、フロムさん、すみませんでした!!!と思うこの4連続パンチ!
ほんとに、たとえば、おからクッキー食べても三日坊主だったり、おからクッキーと納豆を併用しつつもおやつ食べちゃったり、3日で5キロ減ってないことでやる気をそがれたり、「痩せたらいいなー」くらいの気持ちでダイエットしても、痩せるわけないですよね!!!
・・・・一部実話。一部。

英語についても、日常生活でそこまで困らないレベルなので、なんか上記の4つを意識して勉強するってことをしていなかったな、と反省した。

ちょうど今日、イギリスで勉強している友達が、Facebookに、
「韓国人の子と一緒に旅行した。韓国語わからないけど、英語って便利
というようなことを書いているのを見て、うわあ、そうだよねえ、その感覚大事だよねえ、とこれまたパンチをくらった。
たとえば友達としゃべりたい、みたいな「動機づけ」と呼ばれるものって、フロム先生のおっしゃる4つの方法につながるかもなと思ったのであった。


この本、英語のタイトルは『The Art of Loving』で、直訳すると『愛の技術』である。
『愛するということ』って翻訳はすごいなあ、深いなあ、と思うんだけど、『愛する技術』でもいいんじゃないかなと思ったりした。

この中には、技術の習得法だけじゃなくて、愛の種類や、愛っぽいニセモノとか、どういう瞬間に「愛している」状態なのか、とか本当に幅広く「愛」について書いてあったので、今後もちょっとずつ紹介していこうと思う。

あー、いい本読んだ。


わたしも、ヨーロッパ某国に住んでいたときは、その国の言葉を身につけようと、短い間でだいぶ言葉が上達したと自分でも思うんだけど、そのときは上記の4つをちゃんと守っていたなあ・・・・と遠い目。
本当にしゃべれるようになって帰りたいなら、もっと英語に興味を持って、時間を費やそうと思った。

思った。

・・・・思った。

ちょっと前に読んだ、
『スタンフォードの自分を変える教室』(その日のブログ

『経済は感情で動く』(その日のブログ
に言わせると、

「思った」時点で満足して、行動に移さない

らしいので、思い立ったが吉日だぞ、と書いておこう・・・・自分のために・・・・

2013年3月14日 (木)

タイムズスクエアでGalaxy S4発表イベントを見る

今日もまた、いつもの読者のみなさんを置き去りにするかもしれない・・・・

ちょっと前から、Samsungの新機種、Galaxy S4の話題がこちらの新聞をにぎわせていた。
よくよく考えてみれば、1か月前のスーパーボウルのときも、オスカーのときもSamsungのCMめっちゃ流れてたもんな。

そして、ついに本日、Galaxy S4の発表イベントをやるとのこと。
RADIO CITY MUSIC HALLという、歴史のある超アメリカーーって感じの劇場が会場らしいのだが、そちらは記者とかプレスの人限定。
タイムズスクエアで中継をするとのことなので、そちらに行ってみることにした。

20130314t204817_2

これ会場のRADIO CITY。このネオン、アメリカーーーーってかんじじゃない??
RADIO CITYというでかでかとしたネオンの下には、Samsung Unpack event episode 1という小さいネオンが入っている。
小さい方のネオンは、わざわざ演目に沿って入れ替えているのである。

ちなみにすごい人だけど、これはみんなプレスの人と思われる。
Twitter見てたら、「全然入れないんだけど!」みたいな罵詈雑言が・・・・寒い中みなさんお仕事おつかれさまっす!!

20130314t204817_1

RADIO CITYの通りの向かい側では、レミゼのバリケード・・・・???と思わせるようなハリボテ(失礼)が。
この中から、お兄さんたちがでてきて、ダンスをしていた。
よく見ると、4と書かれたジャケットを着ている。

20130314t204817_3


で、こちら、タイムズスクエア!
すごい人である。
「こんなにGalaxyファンがいるとは・・・・!」と思いきや、持ってる携帯はiPhoneだったりする
なんという・・・・って、わたしも人のこと言えないiPhone4ユーザー

開始予定の19時を少し過ぎたころにモニターにRADIO CITYの様子が写って、イベント開始!!

20130314t211037_0

おおおー、この赤いカーテン、まるい天井、すごい!
RADIO CITYで公演する演目のように、下からオーケストラピットや小さな舞台が出てきて、ぐるぐる場面を変えて寸劇(これまた失礼)を繰り広げながら商品の紹介。

商品の紹介はさらにみなさんを引かせてしまうのでここではしないよ・・・・!!
というか、わたしはそこまでガジェ子ではない。だってほら、iPhone4を使い続けてるくらいだし。
つまり単におもろそうだからイベントに行きたかったというミーハーっぷりです。すまん。全世界のガジェ野郎/子のみなさん。

20130314t204817_4

やっと20時近くなって暗くなってきて、さっきのハリボテダンサーズがこちらにも登場!
写真左側の青いモニターの真ん中の人たち。
相変わらず「4」ジャケットを羽織って、素敵なダンスを披露していた。
すごい。タイムズスクエア沿いのブロードウェイを俯瞰した映像はきらきらで、おしゃれなダンスミュージックも相まって、これぞアメリカーーーーー!感満載。
言い過ぎかもしれないけど、広場が1つの劇場になったみたいで、イベント好きミーハーは満足させていただいた。

この後、
「これから貴重な2時間、60台のGalaxy S4を触りまくってくれ、HAHAHA!!」
みたいなのが特設ステージで行われたんだけど、すごい人で、波に乗り損ねてしまった。
ガジェ子じゃないのでまあいいか・・・・と思ったら、帰りがけにカメラの前で携帯触ってみて、ってやらされている人が!

20130314t204817_5

おお!あんまり人いないし、なんか聞かれるかもしれないけど、ここで触っちゃう!?
・・・・と思いきや、よく見ると、説明してるお兄さんと後ろのお姉さんが来ているジャケットに、

HTC

って入ってるんですけど・・・・
※ほんとにこの辺知らない方のために注釈。Samsungとは無関係の台湾のメーカーです・・・・

そうか、こういう場所には携帯好きな人が来るから便乗商法か・・・・
もちろん、触ってもらっているのは、Galaxy S4じゃなくって、HTCの携帯であった。

で、なんかお土産配ってて、こんなのもらった。

20130314t204817_6

HTCの新しい携帯の名前が入った傘。
しましまはレースクイーン気分を味わえるかもしれませんねっ☆

--------

アメリカに来て2か月、IT関係のニュース記事を読むと、この分野で日本企業の名前を見ることが本当に少なくて、ちょっと寂しい。
先月はSONYがイベントをしていたので、その期間はちょいちょい名前を見たのだけど、それ以外は、ほんとにたまーーーに、変わったものを出した会社が名前を取り上げられるレベル。

それに対して、Samsung、LG、HTCの名前を見かける機会はとても多い。
Samsungは最近Appleよりも広告費をかけている、というニュースが出たくらい、アメリカでのPRに力を入れている。
今回、ニューヨークで発表イベントをしたのも、Appleの本拠地であるアメリカの市場でAppleの牙城を崩してシェアを拡大すべく行ったものと言われている。
Samsungは着々とコンテンツ配信の仕組みとか、PCとの連携とか、上のレイヤーにも手を伸ばしつつあり、明らかにAppleを意識した、垂直統合モデルを目指しているかんじ。

うーーーーん。。。。

しかし!
わたしはたとえばSONYのXperiaの方が本体も企業ロゴも絶対かっこいい!と思っている(またまた失礼。主観ですので・・・・)。
しかししかし、それと同時に世界的にはこんなに話題になるほど存在感がないように見えてしまうんだよなあ。

うーーーーん、なんか悔しい。もったいないよSONYさん!

この辺のもったいなさは、ちょっと古いし紹介するまでもないこの本の言っていることが本当に今の日本の行き詰まりを表しているなあ、と思うわけです。




日本の電器業界が国内で戦国時代を繰り広げている間に、世界では大航海時代が始まってて、いろんなところの侵略が進んでいるっていう感じだ。

まさにSamsungは今、自分の領地を作ろうとしているのである。

アベノミクスとか言って、
一時的に(?)お給料を上げるとか、
円安で3月期の決算がよく見せるとか、
そんなことじゃなくって、もっと根本的な何かが必要だ(キリッ)

・・・・というのは多分100万回くらいえらい人が言っているけど、ただの30代会社員のわたしも本当に心からそう思わされた、そんなイベントの夜だった。


おっと、最後思わずちょっと熱くなって、ますますみなさんを引かせてしまいました。失礼いたしました☆
あ、ニューヨークでしましまのHTCの傘を見かけたら声をかけてください。わたしかもしれませんので!

・・・・あと数十本は配ってたけど!

2013年3月10日 (日)

世界は屁理屈で動く

経済は感情で動く―― はじめての行動経済学 (マッテオ モッテルリーニ)

ちょっと前のベストセラーをやっと読んだ。
だいぶ前に買ってたんだけど、本棚の裏に鎮座されていたところを今回の引っ越しで発掘。
自分の所持品の棚卸のために、たまには引っ越しもいいものである。
(しばらくしたくないけどね!!)

こちらの本だけど、この前読んだ『スタンフォードの自分を変える教室』 に近いかもしれない。
「理屈で考えたらおかしな行動をなぜしてしまうのか?」というのを経済活動に当てはめて書いているけど、経済活動以外の日常生活にも適用できる内容がたくさん書いてあって楽しい。


本に載っていたいくつかの例の中で、一番目から鱗だったのはこちら。


『してしまったことを後悔するか、しなかったことを後悔するか』

本の中では、以下の通り、インフルエンザワクチンの例が挙げられている。

(前提条件)
あるインフルエンザの死亡率は、1万人に10人(0.1%)

(理屈で考えると)
・ワクチンの副作用による死亡率が0.1%より大きければ、ワクチンをする必要性はない
・ワクチンの副作用による死亡率が0.1%より小さければ、ワクチンは効果的

この医療が進んだご時世に、病気による死亡率よりもワクチンによる死亡率が高かったら、ワクチンとして存在しないと思うのだけど、それなのに、10人中6人が、インフルエンザの予防のために1歳の子供にワクチンを与えようとしない、と。

ここまでは理屈の世界。なぜこんな行動をとるかというと、「省略の誤り」という錯覚や、「後悔回避(regret aversion)」という人間の信念がそうさせているらしい。
後悔回避については、ものすごく納得できたので、本をそのまま引用すると、

現在および将来における「後悔を嫌い、避けたい」という人間の信念が、意思決定に大きな影響を与えている。人は短期的には失敗した行為の方に強い後悔の念を覚えるが、長期的にはやらなかったことを悔やんで心を痛める

うわーーーーーー。これなんかわかる。
先ほどの例に当てはめると、

・ワクチンを打たなかったら、そのままで死亡率は0.1%
・ワクチンを打ったら死亡率は0.1%より低くなるけど、自分がとった行動がその結果を引き起こすことが許せない

という差があるということですな。

ちょっと話がそれるけど、目から鱗つながりで、ワクチンを打たないことについては、先日読んだ高齢出産本にも書いてあって(参考:『オーバー30、出産を考える』)、この本の元ネタになっているサイトから引用すると、

時々、ワクチンなんて必要ない、と受けさせない親がいるそうですが、ワクチンを受けさせてもらえなかった子が病気にかからずに済んだとしても、それはほとんどの子供がちゃんと打っているからで、ワクチンが不要であることとは全然ちがいます。ワクチンは受ける人のためであり、社会の流行を防ぐためであり、引いては次世代の子供のためです


確かに、自分の子供が病気にかかって死ななくても、そこが流行源になってしまう可能性だってある。さらに本から引用すると、

今の日本ではよほど意識が高くリテラシーのある親のもとに生まれた子どもしか、ちゃんとワクチンを打ってもらえません。これは機会の不平等ではないでしょうか

はーーー。ほんと、そうですよねえ・・・・反省。
わたしも、母がおそらくTVやら雑誌やらで入手してきた副作用の情報から、
「インフルエンザのワクチンは副作用が怖いから打たなくていいのよ」
とか言っていた人なので、このエラーに惑わされていた。
(他のは打ってるけど)

でも、日本はワクチン後進国で、費用もめちゃくちゃかかるらしいし、きっとわたしみたいに考えている人も多いと思うし、普及には時間がかかりそうだなあ。

はっ、なんだかワクチンの話がやたら長くなってしまったけど、わたしが強く思ったのは、

(1)冷静に考えてみたらとるべき選択肢を、そのままでは起きないことを、自分の行動が引き起こすかもしれない可能性にびくびくしすぎて回避するのはおかしい

(2)近い未来では「行動したことを悔やむ」、遠い未来では「行動しなかったことを悔やむ」らしいので、「やりたい」と思っていることは早くやるべき


ということであった。
ここで求められるのは、怪しい情報や主義の切れ端に惑わされない冷静さとか理屈っぽさなんだろうなー。

人間の脳が引き起こす錯覚は、ちゃんと計算してみたらだいぶ回避できたりもするんだけど、世の中の広告や、情報の切れ端は、その計算よりも先に、危機感をあおったり、脳の錯覚を活用したりしているんだろうな。
パニックとかもこれに近いのかもしれない。


これを読んでから、

「いいか、自分、このままだと子供産まなかったこと後悔するぞ・・・・」


と言い聞かせております。
人間は長期的にはやらなかったことを後悔する、そうなので。

あれだぞ、目の前の仕事や生活が大事でも、70歳になったらきっと「ああすればよかったこうすればよかった」っていうのが出てくるんだぞ。
忘れちゃだめだぞ。後悔先に立たずって!!


・・・・と最後は自分への叱咤激励になってしまった。
おつきあいありがとうございます。

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